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福岡高等裁判所 昭和39年(ラ)58号 決定 1964年4月30日

理由

根抵当権者は、根抵当権によつて担保される具体的な債務が、弁済期到来しても弁済されない場合は、根抵当権の存続期間または根抵当権の基本契約の契約期間の各満了前でも、根抵当権の実行として競売を申立てることができ、競売申立の前提として解約などによつて根抵当権設定契約またはいわゆるその基本契約を終了させなければならないものではない。記録によれば、抗告人は競売申立債権者根抵当権者との間に、昭和三〇年四月二二日から同三五年二月七日までの取引期間内に生じ、同債権者に対しおそくとも昭和三五年三月末日までに支払うべき靴革類の代金合計二、〇五七、六一一円の債務を支払わないので、右債権者は抗告人に対し、昭和三五年五月一七日内容証明郵便をもつて、同月末日までに支払うよう催告したが、抗告人においてこれを支払わないので、昭和三六一一月一五日原裁判所に対し本件競売を申立てた経緯であることが明認されるので、本件競売の申立にはなんらの違法も存在しない。

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